ファイル共有ソフトと

「ファイル共有ソフト」という種類のソフトウエアをご存じだろうか?

一部では、聞き覚えが無くても「BitTorrent」(ビットトレント)という言葉であれば知っているかもしれません。

昨今、これが社会問題化していることはご存じでしょうか?

今回は、詐欺でもなんでもなく、単純に、「大丈夫」と思ってやっていることが、実は犯罪になっていて、結果、高額な損害賠償請求につながる。というお話です。

つい先日、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会で一つのコンテンツが公開されました。それが「見るだけでも危険 ファイル共有ソフトの危険な誘惑!」というものです。

詳しくは、リンクの先を見てもらえればわかるのですが、ここではざっくりと解説します。

ポイントは以下の3つです。

  1. ファイル共有ソフトの危険な特徴
  2. ファイルの共有が著作権侵害に該当可能性があり、損害賠償請求の対象
  3. 損害賠償請求の対象者を特定するための発信者情報開示請求が急増

順に解説していきましょう。

ファイル共有ソフトの危険な特徴

ファイル共有ソフトの一つに「BitTorrent」というものがあります。ファイル共有ソフトには、ほかにも何種類もありますが、最近、話題になっているのはこれです。

多くのファイル共有ソフトでも同じことが起きる可能性がありますが、この手のソフトは、自分のパソコンのファイルを不特定多数と共有することが可能です。

共有するファイルは、パソコン上の特定のフォルダに限定されるものの、共有されているものをダウンロードしてきた場合、そのファイルは、共有対象のフォルダに保管されるため、ダウンロードしたものは、そのまま、全世界に公開(共有)されることになります。しかも、デフォルト(標準設定状態)で。

ファイルの共有が著作権侵害に該当可能性があり、損害賠償請求の対象

さて、何が問題なのか?

問題は、ダウンロードしたファイルが、著作権保護の対象だった場合です。つまり、ダウンロードした段階で、そのファイルは公開されてしまうので、ダウンロードした時点以降で、著作権で保護されているものを無断で公開、つまり著作権保護法違反を犯していることになるのです。

これは、本人にその意図が無くても、阻却されるものではありません。

ファイル共有ソフトでは、アダルト動画などが多く共有されているということですが、何気なく、ファイル共有ソフトでダウンロードしたばっかりに、この手の違反をしてしまう可能性があり、注意が必要です。

そして、この手の違反は、著作権保持者から損害賠償請求がされ、裁判になるケースもあります。

損賠賠償額は、ダウンロードしたが動画の本数や種類によって変わるようですが、示談金として70万円以上の請求がされたケースもあるようです。

損害賠償請求の対象者を特定するための発信者情報開示請求が急増

では、どのようにこのファイル共有ソフトの使用者を特定しているのでしょうか?

著作権所有者は、動画などを拡散してしまっているユーザーを見つけた場合、委任を受けた弁護士の事務所がファイル共有ソフトを使用しているIPアドレスなど(IPアドレスだけでは特定不可)をもとに、インターネットプロバイダー(ISP)に、発信者情報開示請求を行って、利用者の特定を試みます。

これは、法律で定められた正当な請求で、裁判に発展した場合は、ほとんどの事例で開示の命令が出ているようです。つまり、ほとんどのケースで、利用者は特定されるということです。

一方で、ファイル共有ソフトの不用意な利用を行うものが多数いるということもありますが、この発信者情報開示請求が行われるケースが急増しており、大手のISPでは、年間数万件の請求を受けているそうです。

逆に考えれば、ISPの本来の業務は、利用者にインターネットを快適に利用できる環境を提供することですが、このような請求対応業務に多くの時間が割かれているということになります。

ファイルの共有は気を付けよう!

結論としては、ファイル共有ソフトを不用意に使うと、知らないうちに著作権を侵害する側になってしまって、気が付けば、高額な示談金を支払うことになってしまうことになるかもしれないので、気を付けましょう。加えて、そういうことで、使用しているインターネットプロバイダーの業務が増え、結果、料金が上がる、などにもつながるので、ソフトは適切に使いましょう。ということになります。

ちなみに、ビットトレントなどは、使用方法を間違えると、今回のケースにつながる可能性があることをお伝えしましたが、このほかにも、ファイルを他者と共有するソフトは多数存在します。

例えば、URLを共有することでファイルを共有することができるようなものも、ファイル共有に該当します。これを利用して、不特定多数に著作権のあるものを公開していれば、当然、侵害の対象になる可能性も高いです。

ファイルの共有は気を付けていただくのが、無難かとおもいます。